カンガルーケアやった方がいい?効果・目的やデメリット・事故の原因を解説
生まれてすぐの赤ちゃんを抱っこって、いいわよね~♪
だから、必ず医療スタッフについていてもらうようにしたほうがいいポヨ!
ここでは、カンガルーケアの詳しい内容、メリットとデメリットについてお話ししたいと思います。
目次
1.カンガルーケアってなに?
カンガルーケアは「赤ちゃんを裸のまま母親の乳房の間で抱っこするケア」のことです。
下記のように大きく2つに分けられます。
1-1.NICU等で行われるカンガルーケア
赤ちゃんが低出生体重児や出生後になんらかの異常があり治療を要する場合には、NICUなどの新生児集中治療室で治療が行われます。
NICUでは赤ちゃんは保育器に入り、24時間看護を受けるため、お母さんとは離れ離れになってしまい、母子分離の状態が続きます。
母子分離状態が長く続くと赤ちゃんへの愛着形成がうまくいかなかったり、退院後に虐待へと繋がったりと多くの問題があります。
これを改善する方法として、面会時間にカンガルーケアを行い、愛着形成を促す方法が知られています。
1-2.正期産での出生直後のカンガルーケア
37週以降42週未満での出産を正期産と言いますが、正期産後のカンガルーケアは、分娩後のよりよい母子関係を築き、母乳哺育をすすめるためのケアとして推奨されています。
2.カンガルーケアのメリット
元々、このカンガルーケアが行われたきっかけは、1979年コロンビアで始まったと言われています。
低出生体重児(2,500g以下)を収容する保育器が足りない状況に対して、お母さんの体温で赤ちゃんを保温してもらおうと素肌で赤ちゃんを抱っこしてもらったところ、赤ちゃんの体温保持はもちろんのこと、低出生体重児の生存率も改善したとされています。
さらにお母さんの育児放棄も非常に少なくなり、お母さんと赤ちゃんの愛情形成にとても役だったとされています。
医学が進歩した現代でも、カンガルーケアのメリットとして、下記のような効果が期待されます。
- 皮膚の接触によって赤ちゃんの体温が維持され、呼吸が安定し、体重増加を促進する
- 母乳分泌が増し、母乳が出る期間が長くなる
- お母さんと赤ちゃんの愛着が深まる
- お母さんの未熟児出産による喪失感を克服する
以上のような、お母さんと赤ちゃんの結びつきを強くする効果が期待できるため、カンガルーケアを実施する産婦人科は多いです。
3.カンガルーケアのデメリット
70%以上の産婦人科で出生直後のカンガルーケアが行われていますが、そのうち約40%の産婦人科で赤ちゃんになんらかの異常が起こった事例を経験したという報告があります。
出生直後の赤ちゃんは体温調整も呼吸機能も未熟で、目に見てすぐわからない病気を持って産まれてくる場合があり、油断できません。
チアノーゼの増強、低体温、低酸素、無呼吸などの異常が起こる可能性がありますが、医療スタッフが目を離している隙に赤ちゃんが急変し対応が遅れてしまうケースが現実に起こっています。
カンガルーケア中に赤ちゃんが急変し心肺蘇生を必要とした症例が26例、そのうち8例に赤ちゃんになんらかの障害が残り、3例が残念ながら死亡しています。
カンガルーケア中はお母さんが赤ちゃんを見ているわけですが、赤ちゃんに異常がないか観察するには限界があります。
その状態で赤ちゃんが急変した場合、異常に気付かなかったことを悔やみ続けることになるかもしれず、赤ちゃんだけでなくお母さんにも大きなダメージが及ぶことが考えられます。
カンガルーケアを行うには、適切な環境の中で医療スタッフが十分状態を把握できる状態でわれることが必須事項になります。
4.まとめ
カンガルーケアが行われる出生直後は、胎児から新生児に劇的に環境が変化する時期であり、呼吸・循環ともに非常に不安定であることをお母さんもしっかり把握しておく必要があります。
カンガルーケアをすることは非常にメリットが多く推奨されることですが、実は危険な場合もあることを知っておいて下さい。
もし、カンガルーケア中になんの説明もなく医療スタッフがまったくいなくなることがあれば、ナースコールをして下さい。
産まれた直後の赤ちゃんはなにが起こるかわかりません。
もし低体温や低酸素になっていても気づくことは難しいですので、不安であれば事前にカンガルーケアはしない旨を医療スタッフに伝えておきましょう。