妊娠中カフェイン・アルコール摂取は少量でも赤ちゃんに影響ある?妊婦の飲酒について
目次
1.カフェインが入っている飲み物ってどれ?
まず、カフェインが入っている飲み物にはどんなものがあるかご存じでしょうか?
皆さんがよく飲む飲み物でカフェインが入っているものは、以下の通りです。
1-1. カフェインが入っている飲み物
- コーヒー
- 紅茶
- 緑茶類(玉露、抹茶、煎茶、釜炒り茶、番茶、ほうじ茶、玄米茶、ウーロン茶)
- ココア
- コーラ
カフェインが入っているからといって、まったく飲んではいけないというわけではありません。
カフェインを多く摂りすぎるのが問題なので、飲む量を適正な量にすれば飲んでも大丈夫です。
2.カフェインの量はどれくらいならOK?
日本では妊婦さんがカフェインをどれくらいまでなら摂取してOKという明確な基準がありません。
内閣府の食品安全委員会が発表している資料を基にお話します。
海外のリスク管理機関が調査した結果では、1日に200mg~300mgまでなら妊娠への影響はないとされています。
しかし、小柄な日本人ではそれよりも少ない摂取量にしておいたほうが無難です。
下記が各飲料のカフェインの量とその測定条件になります。
2-1.海外のリスク管理機関が調査したカフェインの摂取量
- レギュラーコーヒー 約 60mg (コーヒー豆の粉末10gを熱湯150mlで浸出)
- インスタントコーヒー 約 60mg (インスタントコーヒー粉末2gを熱湯140mlに溶かす)
- 玉露 約 160mg (茶葉10gに60℃の湯60mlを加え2.5分浸出)
- 煎茶 約 20mg (茶葉10gに90℃の湯430mlを加え1分浸出)
- 紅茶 約 30mg (茶葉5gに熱湯360mlを加え1.5~4分浸出)
- ウーロン茶 約 20mg (茶葉15gに90℃の湯650mlを加え0.5分浸出)
- コーラ飲料 10~13mg
参考元:食品安全委員会
3.コーヒーなら何杯までOK?
これも日本では何杯までならOKという明確な基準がありません。
海外のリスク管理機関が調査した状況をまとめたものが以下になります。
一日当たりの悪影響のない最大摂取量がコーヒーで換算されています。
3-1.海外のリスク管理機関が調査したカフェインの摂取量
- カップ 3~4杯 世界保健機関(WHO)
- カップ 4~6杯(150ml/杯) オーストリア保健・食品安全局(AGES)
- マグカップ 2杯 英国食品安全庁(FSA)
- マグカップ 2杯(237ml/杯) カナダ保健省
国や機関によってばらつきがありますが、日本人のほうが体型が小柄なので、この海外の基準よりも少なめにしておいたほうが無難です。
4.もしカフェインを摂り過ぎたら…どうなる?
妊娠中にカフェインを摂りすぎ続けた場合、下記のようなリスクがあります。
- 出生児が低体重となる
- 赤ちゃんの将来の健康リスクが高くなる可能性がある
- 高濃度のカフェインは自然流産を引き起こす可能性がある
以上のようにカフェインの摂りすぎは、流産したり、赤ちゃんが小さく産まれてしまう原因となりますので、適正な量を守るようにしましょう。
5.妊娠中は禁酒が必須?
禁酒が必須になります。
アルコールが体の中に入るとその成分が胎盤を通過して赤ちゃんの細胞の増殖や発達を障害するため、少量であっても赤ちゃんへの影響は大きいです。
飲酒が習慣化している方には辛いと思いますが、赤ちゃんに障害や奇形が出てくる可能性がありますので禁酒しましょう。
一日アルコール量として15ml以下(※)では胎児に影響がなかったとの報告がありますが、60~90ml を連日ではなく時々飲んでいたパターンでは赤ちゃんへの影響が報告されています。
この場合、一日量に換算すると少なくなるため、赤ちゃんへの影響は一日飲酒量だけでは判断できず、飲酒パターンが関与すると考えられています。
5-1.アルコール量 15ml 換算量
- ワイン…グラス1杯
- 日本酒…コップ1/2杯
- ビール…350ml缶 1本
2015年にCNNが公開した「妊婦の飲酒は一切ダメ、米小児科学会が勧告」と言うニュースも話題になりました。
例外として英国とイタリアでは、飲酒は良くないとしながらも、もし飲む場合は週に1~2回、1杯程度にとどめるよう勧告しているそうです。
6.禁酒しなかったらどんな影響が?
禁酒しなかった場合、流産・死産・先天異常が起こります。
アルコールに催奇形性があることは明らかです。
先天異常としては下記のような症状が挙げられます。
6-1.アルコール摂取により発症する可能性のある先天異常
- 子宮内胎児発育遅延ならびに成長障害
- 精神遅滞や多動症などの中枢神経障害
- 特異顔貌、小頭症など頭蓋顔面奇形
- 心奇形、関節異常などの種々の奇形
これらの症状を有する典型的なものは「胎児性アルコール症候群」と呼ばれています。
また、厚生労働省も「たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう」と言う事で以下の内容を発表しています
妊娠期にアルコールを常用すると、知能障害、発育障害を伴う胎児性アルコール症候群の子どもが生まれる可能性が高まる。
飲酒による異常のうち、奇形は妊娠初期に、発達遅延や中枢神経系の機能不全は妊娠末期の飲酒と関連がある。
参考元:厚生労働省
7.まとめ
妊娠前にはなにも気にせず飲んでいた飲み物が、妊娠によって、飲んではいけないもの・飲む量に注意が必要なものになるのは大きなストレスになる場合があります。
毎日飲めていたものが好きに飲めないのは辛いものですが、赤ちゃんの健康には代えられません。
健康に大きく育った子どもさんと将来、お酒やコーヒーを一緒に飲めることのほうが今好きに飲みたいだけ好きなものを飲むよりよっぽど大切です。赤ちゃんのために頑張って乗り越えましょう。