葉酸サプリは男性も飲んだ方が良い理由!妊活中は特に男性が大事
- 精子を作り出す段階で葉酸が効果的
- 精子の質を高め、流産やダウン症のリスクを低減してくれる可能性
という研究結果や報告があって葉酸は夫婦で妊活するときにとても大切ポヨ~!
元気で奇形のない正常な精子を作る事は、妊娠する上で非常に重要。
管理栄養士さんに葉酸摂取が妊活中の男性にどのような影響があるのかをまとめてもらいました。
目次
1.葉酸は男性にも必要?
妊娠中の女性にとって、葉酸を摂取することが必須です。
それは、充分な葉酸の摂取によって、先天異常である神経管閉鎖障害の発症を減らすことができると言われているからです。
厚生労働省による日本人の食事摂取基準(2015年版)によると、葉酸の摂取推奨量は18~49歳女性では240μg/日(0.24mg/日)に対して、妊婦480μg/日(0.48mg/日)、授乳婦 340μg/日(0.34mg/日)となっており、特に妊婦では通常の2倍の量の葉酸を摂取する必要があるのです。
上記の情報は、妊娠を計画中もしくは妊娠中の女性であれば、妊活雑誌などを通して良くご存じだと思います。
では、赤ちゃんのパパとなる妊活中の男性にも葉酸は必要なのか?
と言われると、わからない人が多いのでは、無いでしょうか?
厚生労働省による日本人の食事摂取基準(2015年版)によると、18~49歳男性における葉酸摂取の推奨量は240μg/日(0.24mg/日)で、妊活中の増量についてはとくに言及されていません。
引用:日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要
2.そもそも葉酸は体内でどのような働きをしているの?
男性における葉酸の摂取について、妊活中の増量は示されていませんが、それでは全く摂取しなくて良いのでしょうか?
いいえ、答えは積極的に摂取すべき栄養素です。
葉酸は代謝に関わり、タンパク質や核酸の合成に働いて細胞の生産や再生を助け、体の発育を促してくれます。
そのため、細胞を新しく作り出すために必須の栄養素なのです。
葉酸の役割を以下でおさらいしてみましょう。
(1) 核酸(DNA・RNA)の合成
核酸とは、遺伝子情報をもつDNAと、体内でタンパク質を合成するRNAで構成された細胞の核にあたるものを指します。
葉酸は、この核酸の生成に重要な役割を果たしています。
自閉症スペクトラムのリスク因子としてアンチセンスRNAの発現調節が関わることを発見した研究結果を国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター (NCNP)が発表しています。
高齢出産時の自閉症やダウン症などのリスク増加は、加齢によって核酸(DNA・RNA)が老化している事が影響します。
(2) 細胞分裂を促進する
人間の身体は約60兆個の細胞からなり、細胞が分裂と増殖を繰り返すことで生命を維持しています。
細胞はDNAが複製されて分裂することで増えていきます。
このとき、正確に複製するために必要になるのがタンパク質です。
タンパク質は食事で摂取した後、20種類のアミノ酸に分解され、DNAの指示によっていくつもの種類のタンパク質に再構成されます。
葉酸はこのタンパク質が作られる際に欠かせない栄養素です。
(3) 赤血球の生成
葉酸は「造血ビタミン」とも呼ばれ、ビタミンB12とともに血液中の赤血球を作る役割を担っています。
葉酸が不足すると赤血球を正常に作ることができなくなり、貧血の原因になります。
(4) 動脈硬化を防ぐ
最近の研究で、血中に含まれる「ホモシステイン」というアミノ酸の量が多くなると血管の柔軟性が失われ、動脈硬化のリスクが高まることがわかってきました。
葉酸、ビタミンB12、ビタミンB6にはこのホモシステインの血中濃度を下げる働きがあり、動脈硬化によって生じる心臓疾患や脳梗塞などの予防に効果が期待されています。
このように葉酸は私たちの体内で重要な働きをしています。
もし葉酸が欠乏すると、正常な赤血球が作られず、貧血(動悸や息切れ、全身倦怠感)、動脈硬化などを引き起こすリスクが高まります。
また、細胞分裂に支障をきたすので、免疫機能や消化管機能が低下し、口内炎や舌炎、胃や十二指腸潰瘍などが起こりやすくなるのです。
そのため葉酸は、妊娠中の女性だけではなく、男性にとっても必要な栄養素なのです。
ですから、不足のない程度に意識して摂取しなければなりません。
3.男性が葉酸を摂取することでのメリット
近年、男性において、受胎よりさらに前、精子を作り出す段階で葉酸が効果的だという研究結果が、米国カリフォルニア大学バークレー校のブレンダ・エスケナジ(Brenda Eskenazi)氏によって報告されています。
精子の染色体異常は健康的な男性でも1~4%ほど、いくつかのタイプの染色体異常を持つと推定されています。
ブレンダ・エスケナジ氏の研究では、89人の非喫煙者の健康的な男性の精子サンプルを分析し、葉酸の摂取量別に比較したところ、葉酸の摂取量が多い上位25%のグループ(1日の摂取量が722~1150μgのグループ)と、その他のグループを比較した際に、葉酸の摂取量が多いグループでは、染色体異数性が20~20%低いという結果が出たそうです。
染色体異数性は流産、ダウン症候群、ターナー症候群、クラインフェルター症候群などの発生とも関連があります。
参考:
この研究からは、男性の葉酸摂取は精子の質を高め、流産やダウン症のリスクを低減してくれる可能性が読み取れます。
しかし、詳細なデータはわかりませんし、89人という少ない人数での比較研究ですからエビデンスの高い研究結果と結論づけるわけにはいきません。
また、葉酸以外の要素が関係していた可能性もあるので一概に葉酸が染色体異常を予防する、と鵜呑みにするわけにもいきません。
ですが、今後もこういった研究がもっと盛んに行われ、よりエビデンスの高い結果がもたらされたとき、男性の妊活に葉酸が必須だという結論に至る可能性はあるかもしれませんね。
4.男性の葉酸摂取における注意点
アルコールや喫煙は体内で葉酸の吸収や代謝を妨げると言われています。
少なくとも、葉酸は細胞の生産に関与していますので、精子の産生にも少なからず関与していると考えると、妊活中のアルコール、喫煙は控えめにした方が良さそうです。
男性では、仕事上食生活が不規則だという方も多いかもしれません。
厚労省が発表した報告書「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について」では、葉酸は野菜を350g程度摂取するなど、バランスの良く適正な摂取量を確保すれば1日0.4mgの葉酸が摂取できると分析していますが、食生活が不規則な場合は不足してしまいます。
食生活の改善が難しい方は、葉酸サプリメントを活用してみるのも良いですね。
引用:神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について