常位胎盤早期剥離の症状や原因は?発病する確率はどれくらい?
要因のある人はわかっているけど、予知が難しく突然発症する病気ポヨ。
私も気を付けないと…シミュレーションも大切よね。
赤ちゃんの状態を知ることも大切ポヨ!
この病気を耳にすることはあまりないかもしれませんが、妊婦さんであれば誰でも起こる可能性のある病気の1つです。
この病気を発症すると母子共に命の危険を伴う状況に突然陥ります。
ここでは、常位胎盤早期剥離とはどういう病気なのかについてお話ししたいと思います。
目次
1.常位胎盤早期剥離ってなに?
常位胎盤早期剥離は、通常出産後に剥がれるはずの胎盤が、出産前に剥がれてしまう病気です。
妊娠32週以降になることが多いです。
胎盤が剥がれるというのはあまりピンとこないかもしれませんが、赤ちゃんに酸素や栄養を送っている生命線が突然切れてしまう状態で、赤ちゃんは首を締められたのも同じ状況です。
さらに胎盤は多くの血管が通っているため、まだ赤ちゃんがいる状態で剥がれると子宮内で大量に出血してしまい、赤ちゃんもお母さんも非常に危険な状態となります。
一刻も早く、赤ちゃんをお腹の外に出して治療し、お母さんも出血を止める必要があるため、緊急で帝王切開が必要になります。
剥離の仕方が緩やかな場合や、部分的に少し剥離している初期の場合は赤ちゃんの状態をみながら、すぐに帝王切開にならない場合もあります。
常位胎盤早期剥離の怖いところは、DICの危険があることです。
DICは、血管内に微小な血栓が大量にでき、からだのあちらこちらで詰まり、臓器が機能しなくなったり、出血が止まらなくなり、死亡する可能性の高い病気です。
2.どれくらいの頻度で発症するの?
1000人中約6人の妊婦さんが発症する病気です(双子を妊娠の場合では約12人)。
頻度としてはそこまで多くないため、あまり知られていない病気ではありますが、重症な例(胎盤が半分~全部剥がれた状態)では10%の母体死亡、60~80%に胎児死亡がおこる非常に危険な病気です。
3.どんな症状が起こるの?
急激な腹痛と性器出血が主な症状です。胎盤の剥がれ方や位置によって症状は違ってきます。
性器出血は軽症の場合は少量やほとんどない場合もありますが、重症の場合は多量に出血します。
出血の多くは子宮内にとどまった状態になるため、性器出血した以上にお腹の中で出血している状態になります。
腹痛は、軽症の場合はなんとなく下腹部がチクチクする感じがある程度ですが、重症の場合は激痛です。
胎盤の位置によっては腹痛ではなく、腰痛として症状が出る場合もあります。
また、症状として赤ちゃんの胎動が減少します。
赤ちゃんの胎動が明らかに鈍くなったり動かなくなった場合、なんらかの理由で赤ちゃんが危険な状態にある可能性が高いとわかりますので、日ごろから赤ちゃんの胎動は気にしておきましょう。
お母さんがリラックスした状態で赤ちゃんが10回動くのにかかる時間が30分以内であるかを計る胎動カウントという方法があるので、毎日寝る前などに計ってみましょう。
4.症状が出たらどうしたらいい?
出血が多い場合や腹痛や腰痛が激しい場合は救急車を呼びましょう。
重症の常位胎盤早期剥離では、赤ちゃんの命が非常に危ぶまれます。
新生児集中治療室のある大きな総合病院でなければ対応が難しいので、救急車での搬送が望ましいです。
出血が少量で腹痛も気になる程度の場合は、かかりつけの産婦人科に電話して受診するようにしましょう。
赤ちゃんの状態が気になる場合、受診してエコー検査やNST検査(赤ちゃんの心音とお腹の張りの関係を見る検査)をするのが一番安心できる方法です。
5.どんな人がなりやすい?
下記の要因のある人は、要注意です。番号が若い程、リスクが高いです。
- 前回の妊娠で常位胎盤早期剥離になった人
- 血栓(血管の中に血の塊ができる状態)ができやすい病気や体質の人
- 切迫早産や前期破水の人
- 妊娠高血圧症候群の人
- 慢性高血圧の人
- 多胎妊娠(双子や三つ子を妊娠している人)
- 羊水過多(健診などで羊水の量が多いと言われた人)
- 喫煙
- 高齢出産
- その他:子宮筋腫,コカイン服用,外傷等
6.まとめ
常位胎盤早期剥離は、予知が難しく突然発症するため、症状が出た後の対応が鍵を握ります。
上記のような要因のある方は、自分が常位胎盤早期剥離になる可能性があることを知っておきましょう。
要因のない人でも発症する可能性はあるので、症状が出た場合の対応をシミュレーションをしておくともしもの時にスムーズに対応できます。
胎動カウントは、病院にいない時でも赤ちゃんの状態を知ることができる方法ですので、妊娠中・後期の人はぜひやってみて下さい。