葉酸効果と役割を徹底解説!妊娠中・妊活中に必須の栄養と言われる理由
じゃぁ、なんで妊活中の人も飲んだ方がいいの??
中枢神経系の先天異常は妊娠7週未満に発生するみたいポヨ。
この時期って、まだ赤ちゃんがお腹にいるって気づかないことが多いし、妊娠がわかってから葉酸を摂り始めても遅くなってしまうからポヨ。
詳しくは、葉酸の情報をまとめたポヨ!
目次
1.なぜ妊娠中には葉酸を摂る必要があるのか?
母子手帳にも書かれている葉酸摂取ですが、そもそもなぜ妊娠中に葉酸を摂らなければならないのかご存知でしょうか?
胎児の細胞分裂が盛んに行われている妊娠初期(4週~12週)に母体の葉酸が不足していると、先天異常である神経管閉鎖障害を発症するリスクが高くなると言われています。
この神経管の下部に閉鎖障害が起きた場合は二分脊椎を引き起こします。
二分脊椎は脊椎の中にあるべき脊髄が外に飛び出してしまう状態で、腰部中央に腫瘤を認め、生後に歩行や排泄機能といった障害が残ることがあります。
また、神経管の上部に閉鎖障害が起きた場合、脳が形成不全となり無脳症となります。
無脳症ではおなかのなかでそれ以上育つことができずに、残念ながら流産や死産となってしまうリスクもあるのです。
葉酸の摂取だけで全ての神経管閉鎖障害を予防できるわけではありませんが、神経管閉鎖障害の発症リスクを軽減する方法のひとつが自分でもできる葉酸摂取なのですから、しっかり摂りたいですよね。
厚生労働省による日本人の食事摂取基準(2015年版)では、葉酸の摂取量を以下のように推奨しています。
妊婦、授乳婦では上記の理由から、通常よりも多くの葉酸を摂る必要があります。
葉酸の食事摂取基準(女性)
- 18~49歳: 240μg/日(0.24mg/日)
- 妊 婦: 480μg/日(0.48mg/日)
- 授乳婦: 340μg/日(0.34mg/日)
厚労省が発表した報告書「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について」では、野菜を350g程度摂取するなど、バランスの良く適正な摂取量を確保すれば1日0.4mgの葉酸が摂取できるとしていますが、食事由来の葉酸の利用効率が明確でないこと、各個人の食生活によっては1日0.4mgの葉酸摂取が困難な場合があるので、食事からの摂取に加え1日0.4mgの栄養補助食品からの葉酸摂取が推奨されています。
葉酸は熱に弱く、水溶性ビタミンであるため、ゆでるとゆで汁に溶出するなど、調理によって失われてしまいます。
そのため栄養補助食品すなわちサプリメントでの摂取を推奨しています。
引用: 神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について
2.そもそも葉酸とは
葉酸は生命維持に必要な13種類の必須ビタミンのひとつで、ビタミンB群の一種です。
ビタミンは、水に溶けやすく不要な分は尿などで排泄されて体内に留まらない「水溶性ビタミン」と、油脂やアルコールに溶けやすく身体に蓄積される「脂溶性ビタミン」に分類されますが、葉酸は水溶性ビタミンです。
葉酸は体に蓄積しないので、毎日摂ることが大切なのです。
葉酸には下記のような役割があります。
代謝に関わりが深く、タンパク質や核酸の合成に働いて細胞の生産や再生を助け、体の発育を促してくれます。
そのため、細胞を新しく作り出すために必須の栄養素なのです。
(1) 核酸(DNA・RNA)の合成
核酸とは、遺伝子情報をもつDNAと、体内でタンパク質を合成するRNAで構成された細胞の核にあたるものを指します。
葉酸は、この核酸の生成に重要な役割を果たしています。
(2) 細胞分裂を促進する
人間の身体は約60兆個の細胞からなり、細胞が分裂と増殖を繰り返すことで生命を維持しています。
細胞はDNAが複製されて分裂することで増えていきます。
このとき、正確に複製するために必要になるのがタンパク質です。
タンパク質は食事で摂取した後、20種類のアミノ酸に分解され、DNAの指示によっていくつもの種類のタンパク質に再構成されます。
葉酸はこのタンパク質が作られる際に欠かせない栄養素です。
(3) 赤血球の生成
葉酸は「造血ビタミン」とも呼ばれ、ビタミンB12とともに血液中の赤血球を作る役割を担っています。
葉酸が不足すると赤血球を正常に作ることができなくなり、貧血の原因になります。
(4) 動脈硬化を防ぐ
最近の研究で、血中に含まれる「ホモシステイン」というアミノ酸の量が多くなると血管の柔軟性が失われ、動脈硬化のリスクが高まることがわかってきました。
葉酸、ビタミンB12、ビタミンB6にはこのホモシステインの血中濃度を下げる働きがあり、動脈硬化によって生じる心臓疾患や脳梗塞などの予防に効果が期待されています。
このように葉酸は私たちの体内で重要な働きをしています。
もし葉酸が欠乏すると、正常な赤血球が作られず、貧血(動悸や息切れ、全身倦怠感)、動脈硬化などを引き起こすリスクが高まります。
また、細胞分裂に支障をきたすので、免疫機能や消化管機能が低下し、口内炎や舌炎、胃や十二指腸潰瘍などが起こりやすくなるのです。
そのため葉酸は、妊娠中や妊活中だけに限らず、必要な栄養素なのです。
普段の食生活から、葉酸を摂取する必要性があることを理解しておきましょう。
3.妊活中から摂った方が良いのはなぜか?
厚生労働省では、妊娠を計画している女性は妊娠の1ヶ月以上前から妊娠3カ月までの間、葉酸をはじめその他のビタミンなどを多く含む栄養のバランスがとれた食事が必要としています。
中枢神経系の先天異常は妊娠7週未満に発生すると言われています。この時期はまだ妊娠に気づかずに過ごしている場合が多く、妊娠が明らかになってからの対応では遅くなってしまいます。
そのため妊活をしている段階から、葉酸の摂取を心掛けることが大切なのです。
4.カナダで22年間590万人のデータを検証した結果
2016年8月30日にカナダ公衆衛生局のShiliang Liu氏が発表した論文。
そこで、葉酸強化食で先天性心疾患が11%減と言う結果がでました。
妊娠前後の葉酸強化食が複数のタイプの先天性心疾患(CHD)発生リスク低減につながる。
検証の全体としては染色体異常を除くCHDが11%低下することが示された。
RESULTS:
The overall birth prevalence rate of CHDs was 12.3 per 1000 total births. Rates of most CHD subtypes decreased between 1990 and 2011 except for atrial septal defects, which increased significantly. Folic acid food fortification was associated with lower rates of conotruncal defects (adjusted rate ratio [aRR], 0.73, 95% confidence interval [CI], 0.62-0.85), coarctation of the aorta (aRR, 0.77; 95% CI, 0.61-0.96), ventricular septal defects (aRR, 0.85; 95% CI, 0.75-0.96), and atrial septal defects (aRR, 0.82; 95% CI, 0.69-0.95) but not severe nonconotruncal heart defects (aRR, 0.81; 95% CI, 0.65-1.03) and other heart or circulatory system abnormalities (aRR, 0.98; 95% CI, 0.89-1.11).
引用: Effect of Folic Acid Food Fortification in Canada on Congenital Heart Disease Subtypes.